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2009年12月23日

半井桃水と樋口一葉

 東京都台東区竜泉にある一葉記念館で催されていた「半井桃水と樋口一葉」特別展を観てきました。今日が最終日で、午後2時頃から約2時間じっくり観てきました。半井桃水は、樋口一葉が一家を支えるために小説を書こうとした時、ある人の紹介で教えを請うた人です。
「半井桃水と樋口一葉」特別展が催された一葉記念館(東京都台東区竜泉)

 桃水は九州・対馬の人で、対馬藩の藩医をしていた父のもとに、1960年そんな筈ないですよね。1860年の誤りです、に生まれたとのことです。明治5(1872)年生まれの一葉より一回り上になります。展示会場には、桃水のルーツ、一葉との出会い、一葉没後の桃水について、書簡や新聞記者としての記事、新聞小説家時代の作品、後年の長唄・謡曲作者としての作品などが並べられていました。
 
 
 展示会場入ってすぐの所に展示されていましたが、やはり目に入ってしまうのは、桃水と一葉の間で何度か交わされた書簡です。一葉が小説の手ほどきを受けるために桃水と初めて会ったのが、明治24年4月とのこと、一葉19歳、桃水31歳の時です。その後、一葉が13歳の時から通っていた「萩の舎」(中嶋歌子の歌塾)などで男女の仲を噂されたことで、翌・明治25年6月には師弟の関係を解消してしまいました。それ以来二人が顔を合わすことはなく、ただ書簡のやり取り(主に一葉から桃水への手紙が多かったようです)のみになります。
 
 
 私が初めて一葉の筆文字を観たのは、たしか20年くらい前、場所も同じ一葉記念館だったと思います。それ以来何度か足を運んでいますが、一葉自筆の書簡を観る度に、その文字の美しさ・上手さに感嘆します。わずか20歳前後の人の手になる筆と思うだけで、感心しきりです。筆文字(行書)に疎いので文は読めませんが、素人目にもその上手さはわかるような気がします。
一葉記念館へは地下鉄日比谷線・三ノ輪駅1b出口を出て徒歩約10分、途中ご覧の案内板を左折
 一葉記念館へは地下鉄日比谷線・三ノ輪駅1b出口を出て歩くこと約10分、途中ご覧の案内板が2ヶ所あるので、案内に従って左折して150mほど進むと斜め左前方に建物が見えてきます。

 
 今までは気づかなかったのですが今回初めて面白いなと思ったのは、ただ字が上手ということのほかに、内容・表現の豊かさです。教養、率直さ、さらに茶目っ気さえも垣間見られます。
 
 例えば明治25年8月10日に一葉から桃水に宛てた書簡の一節に
 
  我さへしらぬ事をしるよの中
  とにも角にも誠うき世はいやに御坐候

 
 噂によって会うことを控えざるを得ない状況に追い込まれた一葉の、世間に対する不満が見られます。「我さへしらぬ事をしるよの中」という言葉に、昔も今も変わらないと思えて可笑しくなりました。
 
 
 同じく明治25年7月8日、一葉から桃水への書簡にも
 
  お前様にも嘸や御愁傷
   ・・・(途中省略)・・・
  時候さへいとゞ暑くさへ成り
  まさり候まゝ折角――御自愛給り度
  幾重にも祈り居まゐらせ候

 
 私も暑中見舞いなどのメールの文章を考える時に「ご自愛」という言葉を用いますが、この様に使うのかと思い知らされたことです。なお、前段の「御愁傷」は、桃水の親戚の不幸を一葉が弔った言葉です。

 
 例によって電車の移動中にTwitterにツイートしましたので、引用します。
  

Wed, Dec 23


  • 13:53  http://twitpic.com/ur2kk -

  • 13:57  http://twitpic.com/ur33y - $B0lMU5-G04[(B

  • 16:18  半井桃水と樋口一葉との出会いは偶然であり必然でもあったと思う。もしこの出会いが無ければ奇跡の十四ヵ月といわれる一葉の傑作は生まれなかっただろうし、私たちがそれらの作品(文章)に接することも叶わなかった

  • 16:42  半井桃水は九州・対馬の人、小さい頃、藩医だった父がいた釜山で過ごしている。15才の時上京し共立学舎に学んだ後、三菱に入社するも拝金主義に嫌気がさし退社、京都新聞社を経て朝日新聞に入社

  • 16:49  朝日新聞社では半井泉太郎の名で記者として活動するも「鶏林情話 春香伝」の翻訳を契機に新聞小説家として活躍していったとのこと。

  • 16:59  桃水と一葉が初めて出会ったは明治24年4月、一葉19才、桃水31才。親姉妹を抱え17才で戸主となり小説で生活費を稼ごうと思った一葉が指南を桃水に請うたという

  • 17:07  その後、男女の仲を噂され翌明治25年6月には師弟関係解消を決意しているから、実際に会って(face to face)教えを請うたのは僅か一年余りということになる。その後、一葉は桃水に何度か手紙を書いている。桃水からも返事の手紙が何通か、今日観た桃水と一葉展にも展示されていた

  • 17:14  一葉の手紙を観た人が異口同音に言うのがその筆の美しさだ。私も20年近く前に初めて一葉の手紙を目にして以来、文字は判読できないが素人なりにその上手さに感嘆しっ放しだ。筆の美しさだけでなく文章そのものも、教養があり、それでいてシャレている

  • 17:20  一葉の日記もまた、当時の一葉や桃水を始め一葉の人間関係を知る貴重な史料であるとともに、文学的にも価値の高い文章であると思う。流石に文字(筆)そのものは小説の原稿や手紙の様に丁寧ではなく彼女自身だけが読める走り書きのつもりで書かれている

  • 17:25  この様に素晴らしい小説、手紙、日記を残し僅か24歳でこの世を去った樋口一葉という人を知ることが出来るのは何という幸運かと思う。

  • 17:31  拓郎や中島みゆきさん、谷山浩子さんという後世に残る作品を作り続けている人々と時代を同じくして生きられる幸運。それと同様に百数十年の違いではあるが後に生まれた私たちが樋口一葉の作品に触れられることは返す返すも何と幸せなことか。


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--- 関連情報 ---
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投稿者 もりた : 2009年12月23日 23:39 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

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