« 「霞ヶ関改革」と並んで「記者クラブ制度」の廃止こそ、官僚政治から民主政治への転換の必要条件である | メイン | 2010年度概算要求のニュースを見る上での注意点 »

2009年10月15日

鳩山政権発足から4週間、立つ鳥跡を濁した麻生前首相

 鳩山政権が誕生して昨日(10月13日)で4週間が経過した。新政権発足直後から各省の大臣・副大臣・政務官の精力的な行動に目を見張るばかりであるが、ここにきていくつかの“ほころび”も見せ始めている。その要因は主に前政権が残した政策の執行と、現政権による政治との「つなぎ目」に関するものだ。
 
 例えば今朝の朝日新聞によると、“長妻昭厚生労働大臣は13日、09年度補正予算に盛り込まれた「子育て応援特別手当」(1254億円)を停止する方針を固めた。・・・(途中省略)・・・すでに事務作業の外部委託などを進めている市町村もあり、・・・(途中省略)・・・すでにDV被害者の申請受け付けも始まっており、対象世帯から不満が出るのは必至だ。(10月14日付け 朝日新聞より)
 
 八ツ場ダム工事に関し地元住民から中止反対の声があがるなど、すべてをそのせいには出来ないが、政権交代の“つなぎ目”の悪さに起因すると思われる事態が続出し始めた。
 
 
 そこで、今回の様な政権交代が起きた際、前政権から新政権への政権移行ルールなり慣習なりを、構築していくことが重要であると思う。解散・総選挙の時期、総選挙が実施されてから新政権発足までの間隔(現憲法では30日以内に、総理大臣指名のための特別国会を開けとある)などについて、政権交代を前提とした見直しやルール化が検討されなければならない。特に翌年度の予算編成のスケジュールとの整合性について考慮する必要があるように思う。

 
 ご存知とは思うがアメリカの場合、大統領の任期は4年間に固定されている。不慮の事故・暗殺等による死亡や余程大きな不祥事などが無い限り、任期途中の交代は発生しない。在任丸3年を経過し4年目に入ると、ほぼ一年をかけて次期大統領選が行われ、11月初めの本選で次期大統領が決定する。そこから約2ヵ月半のインターバルを措いて、翌年の1月末に新大統領の就任式が行われる。
 
 翻って日本を見てみると、首相は衆議院議員の中から選出されるので、首相の任期は衆議院議員のそれと考えると4年ということになる。しかし4年の任期満了を待たずに衆議院解散、または内閣総辞職が行われる場合がほとんどであるから、首相の任期はアメリカ大統領のように固定してはいない。いつ解散・総選挙を行わなければならない事態に陥るかを常に考えながら、政権運営を行っていかなければならず、落ち着いて腰の座った政治を行うことが難しい。
 
 
 今回は、選挙による政権交代はこの国の歴史上初めてだったこともあり、総選挙から新政権発足までの期間はわずか2週間余り、アメリカの2ヵ月半とは大きな隔たりがある。しかも、アメリカの場合は常に政権交代が起きて、その度に数千人単位の政策実行スタッフが入れ替わる政権交代のルールが確立されていての2ヵ月半だ。
 
 前政権が任期満了が近づくと自らの実績を上げるために、強引とも思える手段で政策を実施することは、日米とも共通している。今回、麻生政権の場合も、約15兆円の巨額の09年度補正予算を力任せとも思える手法で成立させたり、消費者庁を総選挙から2日後の9月1日に発足させたり、最先端研究開発支援プログラムの課題選定を麻生首相の元で政権交代直前にあわただしく決めるなどの動きがあった。
 
 また、総選挙の日程にも問題があったと思う。麻生前首相は7月13日の時点で、7月21日の解散、8月18日公示、8月30日投開票の日程で総選挙を実施すると表明した。麻生前首相が、事前の解散予告という異例の行動に出たのは、自らの保身の(いわゆる“麻生降ろし”を封じる)ためである。
 
 8月30日投開票というタイミングが、新政権を担う民主党、それよりも国民にとって最悪であったと思う。投開票の結果、308議席という民主党の大勝を伝えた選挙特番の熱気が覚めやらぬ翌日、8月31日、2010年度本予算に対する概算要求が各省庁から財務省に出されたというニュースを、テレビ各局が報じていた。政権交代が決まった翌日に、前政権の枠組みの元で進められた概算要求が出されるというチグハグさである。
 
 今、鳩山新政権は2010年度予算編成、そのための財源造りとしての09年度補正予算削減を並行して行っている(景気の動向いかんによっては、09年度2次補正の編成も)。例年であれば、9~12月まで4ヶ月弱かけて行われる予算編成作業を、2ヶ月余りで行わなければならないというタイトなスケジュールである。しかも、予算編成のあり方を抜本的に変える(一般会計と特別会計を含めた国の総予算の全面組み替え)ということをやりながらである。そうでなければ、政権交代を実現した意義が無いからである。
 
 
 こうしてみると、8月末投開票とした麻生前首相の決定は、あまりにも後先考えないおろかな判断と言わざるを得ない。国民の利益を考えていないという意味において、政治家として無責任とさえ言えるのではないだろうか。7月から8月にかけて、特に8月は、総選挙を実施してはいけないのである。このような予算編成のスケジュールを考慮した暗黙のルールも、今後、政権交代を前提とした政治では与野党間で共有してもらわねばならない。実は、麻生前首相が8月30日投開票を決めた時から、現在のような状況(2010年度の予算編成が例年通り年内に終えることが不可能ではないかということ)を危惧していた。
 
 
--- 関連情報 ---
(1) 故きを温める(古典に親しむ)(1)-『論語』から 2008年10月28日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(2) 政治空白3 2008年11月13日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(3) 衆議院の解散・総選挙は7月ではないかと思う(根拠なし・直感) 2009年04月23日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(4) 党首討論における与党議員の反応にいだく懸念 2009年05月27日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(5) 国民の過半数が反対する2009年度補正予算が成立 2009年05月29日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(6) 2010年度予算編成、出発点は前年度決算から 2009年09月23日 IT屋もりたの今時パソコン日記

投稿者 もりた : 2009年10月15日 00:22 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.imadokipc.com/mt/mt-tb.cgi/1464

コメント

コメントしてください




保存しますか?