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2009年10月16日

2010年度概算要求のニュースを見る上での注意点

 鳩山新政権による2010年度一般会計予算案の概算要求の総額は90兆円を超える見通しであると、テレビ各局のニュースや新聞社のWebサイトで報じられています。それらの見出しを見ると「過去最大」という言葉が目立っています。
 
 概算要求は、各省庁からの概算の要求であって、これから各省庁と財務省との間で削減を前提として見直しが行われ、年末までに、年明けから始まる通常国会へ提出する政府予算案として正式に決定される見込みです。記事の中味を読むと「概算要求段階では過去最大となる見通しだ」というように、あくまで途中経過であることを説明はしています。
 
 新聞やテレビはそのことをわかった上で「過去最大」というキーワードを使っているのでしょう。しかし結果としては、国民の間に赤字(国の借金)が増えるというイメージを作ることに貢献してしまっています。リーマンショック以降の経済の縮小により、税収額の大幅な落ち込みが避けられない状況であることを考えれば、赤字国債の新規発行額が前年より増えることは避けることは出来ないと思います。

 
 鳩山政権に替わって(弁護)というわけではありませんが、2010年度一般会計予算の概算要求に関する新聞やテレビによる報道に接する上で、考慮しておくべき注意点について述べてみたいと思います。
 
1.わずか1ヶ月で全部見れるわけがない
 
 民主党は先般の総選挙の前に発表したマニフェストで、同党の政策を実現するためには、初年度(2010年度)に新たに7.1兆円が必要であることを公にしています。今年度(2009年度)の一般会計予算額が約88兆円ですから、88+7=95で、2010年度の一般会計予算額が90兆円超となることは、小学生にもわかるハズです。

 
 (注) ところで、こういった事柄を論じる際、肝心な民主党のマニフェストの工程表を見ずに行うのは賢いことではありません。左に掲げます(クリックで拡大します)。

 今頃、センセーショナルな見出しとともに取り上げているテレビや新聞の態度に、(消極的な意味の)悪意があるようにさえ感じます。もちろん、7.1兆円分の新たな政策を実行した分、今までの(例年の)政策(国が行う仕事)の中から7.1兆円分を削れという意見もあるのかも知れません。しかし、財源の裏付けさえ確保されるならば、予算が増えてもよい政策は実施してよいという考え方も成り立ちます。
 
 私自身も含めて、多くの国民はもちろん、新聞・テレビの記者たちも、この点についてはあまり考えていなかったのではないかと想像します。野党時代の民主党に対して、「財源はどうするの?」の一言を事あるごとに問いかけてきたテレビや新聞(新聞の世論調査の質問事項も)の記者さん自身も、その答えをまったく考えていなかったことが、バレてしまった瞬間です。今日の概算要求のニュースの伝え方を見れば明らかです。
 
 
 8月31日(総選挙の結果、民主党への政権交代が明らかになった8月30日の翌日)に、麻生政権の下で2010年度一般会計予算の概算要求が行われました。その2週間後、9月16日に鳩山新政権が発足したことは皆さんご存知の通りです。新政権のメンバ(大臣・副大臣・政務官)が実際に、国(各省庁)の予算関連情報に接したのは、その時が初めてでしょう。
 
 それからわずか1ヶ月足らずの期間で、90兆円にも上る規模の財政項目を、約70人(大臣・副大臣・政務官)でチェックし、採否を判断すること。超人間業と言わざるを得ません。実際に政府に入った政治家(大臣・副大臣・政務官)の皆さんがこの1ヶ月、ハードスケジュールを物ともせず働いていることは、想像に難くありません。しかし、一般会計だけとはいえ、国家予算の全項目を1ヶ月という短期間で見ることには限界があり(つまり時間が足らない)、そのことが、新規政策の7.1兆円部分以外の、従来からの約90兆円の部分を精査しきれなかった、よって総額が90兆円を超えてしまったということだろうと思います。
 
 
2.一般会計だけでなく特別会計をも含めた200兆円を超える予算規模を、国の総予算として2010年度予算案を評価しなければならない
 
 何十年にもわたって、この国では一般会計のみを国家予算であるかの様にみなして、国会で審議の対象としてきました。その2~3倍、最近(2000年頃以降)では4倍以上もの規模の特別会計に対しては、国民も政治家も無関心を装って(見ないことにして)、そのムダに対して目をそらせてきました。
 
 新年度(翌年度)の一般会計の概算要求が発表されるたびに、新聞やテレビはその額(「何兆円規模」)を前年との対比により「何パーセント・アップ、何兆円増加」という表現で報じてきました。新聞やテレビはこれからは、一般会計と特別会計を含めた総額という形で国民に対して伝えなければなりません。
 
 赤字国債の新規発行額が例年より増えるのではないかという、国民の真面目な心配に対しても、決して少なくない特別会計のムダの削減とトータルで考えなければなりません。残念ながら政府に入った閣僚(大臣)および副大臣・政務官のみなさんは、昼夜を問わない大忙しの状況が今後も続くと思われます。適当な時期(2010年度予算案が決定する12月末以降)に一息ついた後に、特別会計の全面的な精査にとりかかる必要があると思います(そのための時間と人が足りないような気がします)。
 
 
 従って2010年度は今年の一般会計規模(88兆円)との比較を報じただけでは、充分とはいえません。残念ながら、今日の報道を見る限りそのような観点から報じているテレビ局やネットのニュースはありませんでした。新聞(といっても朝日新聞のみですが)については明日チェックしてみたいと思います。
 
 
 以上、2010年度一般会計予算の概算要求のニュースに絡んで、報道への接し方について留意点を述べました。結論を言えば、今年(2010年度予算編成)だけでは、民主党が選挙前に掲げた一般会計と特別会計を含めた国の総予算の全面組み替えは不可能です。本当の意味で、それ(国の総予算の全面組み替え作業)が始まるのは、2011年度予算編成からではないかと思っています。
 
 
--- 関連情報 ---
(1) 「屋下に屋を架す」ようなテレビ報道よりも、直接読もう・民主党マニフェスト 2009年07月28日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(2) 2010年度予算の「概算要求」、新政権に配慮して作業見合わせ 2009年08月31日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(3) 「特別会計への道案内」(1)-国による税金のムダづかいを知るために 2009年09月05日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(4) 2010年度予算編成、出発点は前年度決算から 2009年09月23日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(5) 鳩山政権発足から4週間、立つ鳥跡を濁した麻生前首相 2009年10月15日 IT屋もりたの今時パソコン日記

投稿者 もりた : 2009年10月16日 00:43 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

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