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2009年09月05日

「特別会計への道案内」(1)-国による税金のムダづかいを知るために

「改訂新版 特別会計への道案内」(松浦武志・著、創芸出版)
 松浦武志氏が書いた「改訂新版 特別会計への道案内」(創芸出版)という本を読んでいます。何故この本を選んだのか(“特別会計”に注目しているのか)というと、ベルリンの壁崩壊(東西冷戦終結)後、顕在化してきた日本(の政治・経済・社会)における諸問題を解決するためにクリアしなければならない多くの課題が、霞ヶ関改革(官主政治から民主政治への転換)に集約され、とりわけ国の特別会計の問題が改革の本丸と考えるからです。直接的にはThe Journalの中で、どなたかのコメントを読んでいて、この本のタイトルを知りました。
 
  松浦武志:知られざる特別会計のカラクリを明らかにする(前編)(The Journal News Spiral)
  ・松浦武志:知られざる特別会計のカラクリを明らかにする(後編)(The Journal News Spiral)

 

 
 “特別会計”、ずっと気になっていました。総選挙の投票の前までに読んでおこうと以前から思っていましたが、8月25日に旅先の広島からインターネット(Amazon)で注文し、届いたのが投票日の前日(8月29日)でした。以下、平成20年度の予算を例にして説明します。

 
 みなさん、いつの時代に学校で政治を習ったかによって多少理解に差異があるかもしれませんが、国の予算には一般会計と特別会計があることは、ご存知でしょうか?その規模は平成20年度で言うと、一般会計歳出総額約83兆円に対して、特別会計歳出総額は約368兆円です。一般会計と比べて特別会計が4倍以上の規模になります。
 

 話は横にそれますが、私が子供(小学校低学年)だった頃、テレビのニュースで「国家予算4兆円(が国会審議を通過・成立した)」と言っていたのが耳に残っています。(当時は一般会計、特別会計という区別は知りませんでしたが)今にして思えば、おそらく一般会計のことだろうと思います。
 
 松浦氏が書いたこの本によると、1960年度の一般会計予算1.57兆円に対して特別会計予算が3.55兆円、1970年度では一般会計 7.95兆円、特別会計 17.0兆円となっています。このことから類推すると、私が憶えている国家予算(一般会計)4兆円は、1965(昭和40)年頃の予算ではないかと思います。小学校3年生でした(以上、余談はここまで)。

 
 このように、私が子供の頃は一般会計予算の2倍強程度だった特別会計予算が、最近は4倍以上に膨れ上がっています。1980年度ではまだ特別会計予算は一般会計の2倍程度ですから、特別会計の膨張が勢いを増し始めたのは、1980年代半ば以降と思われます。特に1990年代に入ってその傾向が加速されたのではないかと見ています。
 
 
 しかしそれ以前に問題なのは、国会において議論の対象になっている予算案は一般会計のみであり、これまでは特別会計についてほとんど議論されてこなかったということです。「母屋でお粥をすすっているのに、離れではすき焼きを食べている」という名言で知られる問題です。
 
 新聞やテレビも何十年にわたって、このことを指摘して来ませんでした。よくテレビで中継される予算委員会で、予算のこの事業はムダだから削減すべきだ、いや地方にとって必要な事業だと言って、与野党の議員が議論を戦わしているのは、特別会計の4分の1にも満たない一般会計についてのみです。その4倍もある特別会計の事業の是非については、ほとんど議論されてこなかったのです。
 
 
 新聞もテレビもこのことを問題として取り上げて、国民に気づかせることはありませんでした。このことを問題として認識し世間が知ることのキッカケになったのは、塩爺(しおじい)の愛称で知られる塩川正十郎財務大臣(小泉内閣)の指示により審議を始めた財政制度審議会が、谷垣禎一財務大臣に対して上げた報告書によってだそうです。
 
報告書は、「特別会計が多数設置されることは、予算全体の仕組みを複雑でわかりにくくし、財政の一覧性が阻害される面があるとともに、会計が分立することにより予算全体としての効率性が損なわれかねないという問題点をはらんでいる」と言い、続けて、特別会計の中身や運営に関する最近の批判として次の6つのポイントを挙げている。・・・(以下省略)(冒頭に掲げた松浦氏の著書による)

 
 それ以前にも第一次臨調(昭和39(1964)年9月)や第二次臨調(昭和58(1983)年3月)において意見や答申として、特別会計の問題点や勧告が示されてきたとのことです。しかし、ほとんど顧みられず何らの対策も採られることが無かったとのことです(詳しくは松浦氏の著書をご覧ください)。
 
 
 ところで(平成20年度の)一般会計の歳出総額83兆円と、特別会計歳出総額368兆円とを単純に合計すると451兆円となりますが、451兆円という金額そのものに、あまり意味は無いということです。というのは、一般会計から特別会計へ繰入している部分があり、一般会計の純支出は34兆円(歳出総額83兆円から、特別会計への繰り入れ分49兆円を差し引いた額)だからです。
 
 また特別会計の方も、特別会計内部や特別会計相互間の取引があり、特別会計の純支出は178兆円になるということです。従って、一般会計と特別会計の純支出である34兆円と178兆円を合せて212兆円、これが平成20年度における国の実質的な総予算(歳出総額)になるとのことです。
 
 今回の総選挙に向けて民主党が掲げたマニフェストにおいて、1番目の政策として挙げた「1 ムダづかい 国の総予算207兆円を全面組み替え。税金のムダづかいと天下りを根絶します。・・・」の207兆円という数字が、これに当たります(平成21年度の数字と思われます)。
 
 
 さらにこの本を読み進めた結果につきましては、「特別会計への道案内」シリーズとして、ご報告できればと思っています。なお、特別会計を含めた国の予算について、財務省はホームページで詳しい説明を行なっています。
 
  平成21年度一般会計歳出歳入の内訳(予算)(財務省ホームページ)
  ・平成21年版 特別会計のはなし(財務省ホームページ)

 
 また今回の総選挙(第45回衆議院議員総選挙)に向けた民主党のマニフェストは、下記のページにあります。
 
  民主党の政権政策Manifesto2009(民主党ホームページ)
 
 
--- 関連情報 ---
(1) 「屋下に屋を架す」ようなテレビ報道よりも、直接読もう・民主党マニフェスト 2009年07月28日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(2) 自民党のマニフェスト(4) 2009年08月01日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(3) 2010年度予算の「概算要求」、新政権に配慮して作業見合わせ 2009年08月31日 IT屋もりたの今時パソコン日記

投稿者 もりた : 2009年09月05日 02:27 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

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