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2008年11月02日

第9回 NHK アジア・フィルム・フェスティバル 2日目

NHK アジア・フィルム・フェスティバルの会場となったNHKみんなの広場ふれあいホール周辺は、折しも「しぶやフェスタ」と重なり大変な混雑でした
 NHK アジア・フィルム・フェスティバルの2日目、昨日に続き東京・渋谷のNHKに出かけてきました。会場(NHKみんなの広場ふれあいホール)周辺は、折しも「しぶやフェスタ」も催され、ご覧のように活気にあふれていました。

 
 今日は次の2作品とトークショーを鑑賞しました。
 
● 僕たちのキックオフ
 
 イラク北部、キルクークを舞台とした映画で、危険と隣り合わせの状況下での撮影だったそうです。そのせいか「これは映画であって映画ではない、ある意味現実なのだ」ということを強く感じました。それほど切迫感が画面を通じて、こちらにも伝わってきました。
 
 キルクークは元々クルド系住民が多く暮らす地域でしたが、フセイン政権の政策によりクルド人は北部に追放され、アラブ系住民が移住させられたそうです。フセイン政権崩壊とともにクルド系住民が戻ってきているが、アラブ系住民との間で摩擦も多い複雑な事情を持った地域とのことです。
 
 監督のシャウキャット・アミン・コルキさんは、1973年生まれで35歳という若さです。監督自身はイラン育ちだそうですが、出身地に近いキルクークで目にした住民の姿にヒントを得て、これをぜひ撮りたいと思ったそうです。クルド地域の映画産業はゼロに等しいので、撮影以外のすべての作業は他の地域で行わなければならず、苦労して作った映画とのことです。
 
 上で「映画であって映画ではない」と書きましたが、これはやはり映画です。どんなことがあっても夢を失わないという強い決意が、スクリーンを通して伝わってきました。日本にいてはなかなか伝わってこないイラクの状況の一端を知る上でも、多くの人に見ていただきたい作品です。
 
 
● パンドラの箱
 
 今日の2本目は、トルコが舞台の「パンドラの箱」という映画を観ました。遠い山奥の村に一人で暮らす母親が行方不明という連絡を受け、都会に住む3人の姉弟が捜しに向い見つかった母をイスタンブールに連れて帰るという話です。
 
 山に囲まれた田舎の村と大都会・イスタンブールという両極端のシーンが出てくるわけですが、映画が終ってイェシム・ウスタオウル監督とムラット役のオヌル・ウンサルとのトークの時、1つ疑問が湧いてきました。その場は躊躇して質問出来ませんでした。
 
 疑問に思ったのは「山奥の村のシーンがありますが、この地(山奥)を選んだのは監督ご自身と何か関係がありますか?」というものでした。「パンドラの箱」の上映に続き催されたトークショーの中で、大学と大学院で建築を勉強されていたこと、ご出身がトルコの山岳地帯であることなど、ウスタオウル監督ご自身がお話してくださいましたので、質問には及びませんでした。
 
 また、この映画を観て河瀬直美監督の「殯の森(もがりのもり)」に共通するものを感じましたので、こちらは思い切って質問してみました。この作品(「パンドラの箱」)のシナリオに着手したのは2005年からで、作り終わった後に「殯の森」をご覧になったそうです。
 
 トークショーでのお話や、パンフレットに掲載された言葉から、ウスタオウル監督はご自身の出身地であるトルコであれ、日本や他のどの国であれ、古きもの、伝統的なものに強く惹かれる心をお持ちであると理解しました。かといって現代に無関心というわけではなく、今起きていることを敏感に捉え切り取って貼り付けたシーンが、この映画の中にもたくさんありました。監督の過去の作品である「遥かなるクルディスタン」(2002年)や「雲が出るまで」(2004年)もチャンスを見つけて、観てみたくなりました。

 
● トークショー
 
 「パンドラの箱」の上映後、トークショーが催されました。「NHK アジア・フィルム・フェスティバル」とともにNHKが実施している「サンダンス・NHK国際映像作家賞」に、過去日本から参加して作家賞を受賞した新進気鋭の3人の監督と、「パンドラの箱」のイェシム・ウスタオウル監督とのトークショーです。
 
 それぞれの監督と受賞作品は、次の通りです。
 
  ・イェシム・ウスタオウル監督(トルコ) 「雲が出るまで」
   今回の「パンドラの箱」と同じくトルコ山岳地帯の美しい風景を舞台にした作品。雲が出るまで待って撮影を行ったというエピソードをお話くださいました。
 
  ・富永まい監督 「ウール100%」
   岸田今日子、吉行和子 2大女優が共演。岸田今日子さんにとっては遺作となった作品。富永監督自身が書いたアニメが、海外スタッフとの共同作業で役に立つことが多いとのこと。CMディレクターの仕事は今もやっていたり、NHK教育TVの番組「シャキーン!」にアートディレクターとして関わっているとのこと。来年2月埼玉での舞台に向けて準備中とのこと。
 
  ・呉 美保監督 「酒井家のしあわせ」
   大林宣彦監督の下で5年間仕事をされた後、独立された。大林監督の仕事を近くで見ていて、監督をやってみようという気持ちが生まれたとのことです。三重県出身で、この映画のロケ地・伊賀市は呉さんの知り合いの申し出によって決まった、人と人との出会いは大切であると話されていました。今後は、脚本、TVドラマ、CMなど、いろいろなことにチャレンジしていきたいとおっしゃっていました。
 
  ・中嶋莞爾監督 「クローンは故郷をめざす」
   ご自身の弁では「まったくの独学」で映画作りを始めたとのこと。「クローンは故郷をめざす」の来年公開を目標に頑張っているところということです。みなさんで応援しましょう。
 
 
 NHK アジア・フィルム・フェスティバルは、5日まで開催されています。今日の作品を観て、もう1回行きたくなりました。
 
 
--- 関連情報 ---
(1) 河瀬直美監督「殯の森(もがりのもり)」 2007年07月13日 
(2) 「殯の森(もがりのもり)」河瀬直美監督トークショー 2007年08月16日 
(3) 河瀬直美監督「殯の森(もがりのもり)」(2) 2007年08月17日 
(4) 「殯の森(もがりのもり)」河瀬直美監督トークショー(2) 2007年08月17日 
(5) 明日からNHK-BS2で“アジア映画特集” 2007年10月14日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(6) アジア映画はおもしろい 2007年10月25日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(7) アジア・フィルム・フェスティバル 2007年11月03日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(8) 「GARASI(ガレージ)」 2008年09月13日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(9) 第9回 NHK アジア・フィルム・フェスティバル 2008年11月01日 IT屋もりたの今時パソコン日記

投稿者 もりた : 2008年11月02日 23:50 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

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