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2008年10月19日

消えた年金(20)-厚生年金の「遡及(そきゅう)脱退」は全部で何件あったのか、政府は一刻も早く全容を調査せよ

 昨日の毎日新聞1面トップ「レセプト抜き隠ぺい」の記事は、各方面にインパクトを与えたとみえ、多くのブロガーが関連する記事を投稿しています。このニュースは、社会保険庁、および企業経営者による不正が、年金という範囲を超えて健康保険にまで及んでいたという意味で非常に重大です。毎日新聞の言葉を借りれば、“年金保険制度のみならず、医療保険制度もゆがめてきた実態が明らかになった。”のです。
 
 
 しかし、ここでは話の範囲を年金保険制度、すなわちこの1ヶ月ほど問題になっている厚生年金記録の改ざんや不正な処理(「遡及脱退」)に絞りたいと思います。
 
 
● そもそも標準報酬月額の引下げや遡及脱退など、厚生年金記録改ざんの総数は何件あるのか?
 
 厚生年金の記録(標準報酬月額)に改ざんの可能性のある件数が、のべ143万件(約144万件とも言われている)にのぼることを、社会保険庁が認めたのが、10月3日のことです。
 
 一方、昨日の毎日新聞や朝日新聞の報道の通り、過去に遡(さかのぼ)って厚生年金から脱退する「遡及(そきゅう)脱退」の実態が、社会保険庁の職員、元職員らの証言によって明らかになりました。これには徴収課の係長や課長、所長らも関与、あるいは承知していて、職員個人というよりも社会保険事務所という組織ぐるみの不正であったと、元職員が証言しています。
 
 この結果、10月3日に社保庁が認めた144万件の他に、不正な「遡及脱退」によって不利益をこうむる(受給額が少なくなさせられた)受給者・加入者が、少なからず存在するということが言えます。いったい、その数は何件あったのでしょうか?
 
 
 ここで昨日の毎日新聞1面の記事を、もう一度見てみたいと思います。
 
総務省年金記録確認第三者委員会が社保事務所の処理で不適正と断定した66件(8日現在)のうち、17件は標準報酬月額(給与水準)の引き下げ、50件(1件は重複)は遡及脱退だった。50人は1ヶ月~2年さかのぼって脱退させられ、ほとんどの人はこの間の診察は無資格受診となっていた。
 社会保険庁の調査では標準報酬月額の改ざんの恐れのある記録は延べ約144万件に上ることから、遡及脱退も相当数に上ると見られる。

10月18日 毎日新聞1面より

 
 “総務省年金記録確認第三者委員会”、略して第三者委員会は、「消えた年金記録」、「消された年金記録」(これ以外に新たなパターンが無いことを祈ります)の確認・記録の訂正に関し、受給者(加入者)本人でもなく、社保庁でもない、第三者の立場から公正な判断を示すことを任務とする機関です。
 
 上記の引用部分の66件というのは本人から申し立てのあった分でしょう。そのうち17件が標準報酬月額の引き下げ、50件が遡及脱退ということですから、これを先日認めた144万件に単純に当てはめますと、遡及脱退の件数はおよそ423万件ということになります。結論として、標準報酬月額の引き下げと、遡及脱退の件数を合わせた(厚生年金の受給額を減らされた可能性のある人の総数は567万件にもなってしまいますサラリーマン現役、引退を合わせて何人いるのか知らないので判りませんが、20~30人に一人ぐらいの割合でしょうか)。
 
 
● 「消えた年金」、「消された年金」問題の全容把握、解決に向けて、現政権は全力を傾けていないのではないか?
 
 私たちにこんな計算をさせないためにも、社会保険庁、いや厚生労働省は、標準報酬月額の改ざん、および遡及脱退の件数が全部で何件あるのか、一刻も早く調査し結果を発表すべきであると思います。そして、政府は厚労省の調査を全力を挙げてバックアップすべきです。
 
 
 今月6日の衆議院予算委員会における質疑において、年金問題(厚生年金記録の改ざん)に関して、民主党の長妻昭議員と舛添要一・厚生労働大臣との間で次のようなやりとりがありました。先ずはサンプル調査をして全容を把握すべき、と長妻議員が質したのに対して、舛添・厚労相は、直接調査(改ざんの可能性の高い2万件の戸別訪問)を優先して行う考えを示しました(16日から社保事務所職員による2万件の戸別訪問が始まっています)。
 
 上記は質疑の内容を簡素化して表現したものであり、実際の発言内容は、次の通りです(10月7日 毎日新聞6面「衆議院予算委(詳報)」より引用)。
 民主党・長妻昭議員「・・(略)・・・。改ざんや不適正な処理は何件あるのか。」
 舛添要一・厚生労働大臣「妊娠で月給が下がったケースなどもあり、すべてが改ざんではない。65年間積もりに積もった不祥事の山を、コツコツ解決している。その中で可能性の高いところから優先順位をつけてやる。」
 長妻議員「サンプル調査をして改ざん率がどれぐらいかを調べるべきだ。」
 舛添厚労相「サンプル調査より(改ざんの)可能性が高い方々に直接データを持っていった方が早い。」
(・・・・以下、省略)

 
 舛添大臣は、派遣労働の規制緩和の見直し、後期高齢者医療制度の改善策の検討など、大変忙しそうで、年金問題だけに“かかずらって”いられないオーラを、テレビを拝見していていつも感じます。一筋縄ではいかない厚労省や社保庁幹部の相手など、とても出来そうにないと、傍目(はため)からみていつも心配しています。
 
 繰り返しになりますが、政府のトップ(麻生総理大臣、または衆院選後に選出される次の内閣総理大臣)は、年金問題の重要性を認識するならば、「消えた年金」、「消された年金」の実態の全容把握、および問題解決に向けた政策実行の中心となる厚生労働省を、全力でバックアップすべきと考えます。
 
 
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投稿者 もりた : 2008年10月19日 22:32 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

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