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2008年07月10日
北海道洞爺湖サミットに懐疑的(4) - 日本のテレビは洞爺湖サミットをどう伝えたか
前3つのエントリー((1)、(2)および(3))において、北海道洞爺湖サミットに対して私が抱いている懐疑的なイメージの理由について言及しました(下記の1.から3.まで)。
・議長国である日本政府に対して
1.採択された宣言など成果の有効性に対して懐疑的
2.そこまで必要かと思えた厳戒態勢
3.議長国としてのサミット運営、議事進行能力に対して懐疑的
・日本のマスコミに対して
4.日本のテレビ、新聞の報道スタンスは政府の御用聞き
ここでは、私が日本のマスコミ、特にテレビに対して抱いている懐疑的なイメージについて触れたいと思います。その前に、洞爺湖サミット最終日の今日(9日)行われた主要排出国会合の結果をお伝えしたいと思います。
■ サミット最終日、主要経済国会合(MEM)の結果
日本政府が今回のサミットのメインテーマと位置づけていると思われる「環境・気候変動」については、G8(日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ロシア)に新興国(中国、インド、ブラジル、メキシコ、韓国、インドネシア、オーストラリア、南アフリカ)を加えた主要経済国会合(MEM)が開かれたようです。この16カ国で、現時点で地球全体で排出されているCO2の約80%を占めるそうです。
昨日(8日)G8が合意した「2050年で半減という目標を国連の気候変動枠組みに参加している全締結国と共有する」という内容を、新興国と呼ばれる上記8カ国にも賛同してもらおうと提案したそうです。韓国、オーストラリア、インドネシアは賛同したものの、他の5カ国は「先ずは先進国(G8)が責任を認めるところから議論を始めるべき」と主張し、同意には至らなかったとのことです。
MEMの合意内容として発表されたものは以下の通りとのことです(毎日jp(毎日新聞)「北海道洞爺湖サミット:G8と新興国、温暖化で首脳宣言 長期目標、協議継続で合意」より引用)。
“◆MEM首脳会合宣言◆
▽世界全体の長期目標を含む協力行動のビジョンの共有を支持
▽長期目標で気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の野心的シナリオへの真剣な考慮を求める
▽先進国は中期の国別総量目標を実施
▽セクター別アプローチの役割を検討
▽長期的には革新的技術の研究・開発が重要”
↑どういうことか分りますか?結局、「環境・気候変動」に関して具体的な合意は何も得られなかったということです。福田首相は「この問題について世界の主要国(CO2排出量の8割を占める)の首脳が初めて同じテーブルについた成果」を強調していましたが、成果といえるのかどうか、はなはだ疑問です。
■ 日本のマスコミに対して
4.日本のテレビ、新聞の報道スタンスは政府の御用聞き
今回の洞爺湖サミットについて、日本のマスコミ、特にテレビがどのようなスタンスで報じたのか興味がありました。そこで、今夜の各局のニュースを、サミットの成果を各局の番組がどうとらえたか、という観点で見てみました。
● ニュースウォッチ9(NHK総合)
特筆するほどのことはなく、無難なコメントでした。
● 報道ステーション(テレビ朝日)
(1) アメリカ・ブッシュ大統領が上機嫌の理由について、「何も決めなかった」ことが最良の結果だったという共和党の評価を紹介していました。
(2) G8の会合で「途上国の原子力発電の導入を支援する取り組み「国際イニシアチブ」を進めることが合意された」(MSN産経ニュース「【洞爺湖サミット】原子力支援で合意 日本に追い風」より引用)ことに触れ、核拡散の危険を指摘するコメントがありました。
● NHK-BS1
名古屋外国語大学教授による「今回のサミットはある程度の成果あり」という好意的なコメントを紹介していました。
● WBS(テレビ東京)
福田首相に対する記者からの質問、「今回のサミットが世界的なインフレを解決する糸口になったのか」に対して、答えに詰まっていたことを紹介していました。
● NEWS23(TBS)
嶌信彦氏が、温室効果ガス対策に何ら成果を挙げられなかったことに触れ、「(福田首相は)アメリカを議論に引き入れたことが成果だと言うが、京都議定書について8年間もそっぽを向いていたアメリカが何を言っても新興国に対して説得力が無い。昨年のうちからアメリカを引き入れておいて、今回のサミット本番では中国、インドらを説得する材料にする位でなくてはダメだった」とコメントされていました。
● ニュースZERO(日本テレビ)
(1) サミットの成果について、「地球温暖化」については、主要国首脳が同じテーブルに付いた(ことが成果である)、という福田首相と同じ見解を示していました。その一方「食料高騰」問題への対応については、具体策なし、との見解でした。
(2) サミットが終って、日本には(京都議定書に基づき)今年(2008年)から2012年までに6%削減という義務が突きつけられること、その後逆にCO2排出量が増加してしまったために現状では、12.2%削減しなくてはならないことを紹介していました。そのためには家庭などのCO2排出量削減が重要であること、排出権購入コストの高騰(当初数千億円の見込みだったのが、MAX5兆円にもなりはしないかという危惧)などについて言及していました。
● ニュースジャパン(フジテレビ)
G8首脳宣言に「北朝鮮の拉致問題解決」の文言が明記されたことに一定の評価を示していました。一方で拉致被害者家族会の方々がこのニュースを必ずしも高く評価していないことを紹介していました。また明日から6カ国協議が再開されることにも言及していました。
以上、今夜(9日)9時から11時半にテレビ各局で報じられたニュースで、各局番組が今回のサミットをどう評価しているかが伺えそうな部分を紹介しました。総じて議長国・日本政府に対して好意的な(甘い)評価が多いように思いました。
というのは中国、インドなど「環境・気候変動」に関してG8と意見が対立した国々の記者さんたちの評価は散々なもの(低かった)からです。また、G8の中でも今回のサミットの成果を高く評価しない国は少なくないようです。このような情報を日本のテレビや日本の新聞からではなく、日本のラジオから得ました。具体的には今朝(9日)の文化放送「吉田照美 ソコダイジナコト」という番組の中で、ジャーナリスト 上杉隆さんのレポートからです。残念ながら海外のラジオを聞く環境には無いので、日本のラジオが頼りでした。
残念ながらテレビや新聞といった巨大なメディアだけでは、今の日本においては正しい状況判断が出来ない、方向を誤ってしまうのが実情だと思いました。ラジオや、地道な取材活動を続けているお一人お一人のジャーナリストのブログ、市井の人々の生の声といった、マイナーなメディアを通じた情報が不可欠と思います。しかし、毎日これらに耳を傾けているのは少数派であることも事実です。より多くの人が、メジャーなメディアに加えてマイナーなメディアの重要性に気付くよう、何が出来るか考えていきたいと思います。
--- 関連情報 ---
(1) 北海道洞爺湖サミットに懐疑的(1) 2008年07月09日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(2) 北海道洞爺湖サミットに懐疑的(2) 2008年07月09日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(3) 北海道洞爺湖サミットに懐疑的(3) 2008年07月09日 IT屋もりたの今時パソコン日記
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