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2007年07月05日

インテルのシニア向けタッチパネル、タブレット付きキーボードレス・パソコン

 一昨日(7月3日)、“<パソコン>タッチパネルで操作 高齢者向け米インテル発売”というニュースが、ネット上のニュースサイト、TVという順に報道されました。
 
  <パソコン>タッチパネルで操作 高齢者向け米インテル発売(Yahoo!ニュース - 毎日新聞)
  ・インテル、シニア層の利用を想定したタッチパネルPCの仕様を策定(マイコミジャーナル)

 
 NHK総合、テレビ東京(ワールドビジネスサテライト)の各テレビ局で報道されていました。
 
 また、購読している昨日の朝日新聞にも関連の記事が掲載されていました。
 
 “シニアにデジタル加速 手書き入力PC・次世代補聴器
 
 パソコンメーカーのPBJは3日、キーボード入力に不慣れな人も使いやすいパソコンを9月下旬に発売すると発表した。PBJはタッチパネルディスプレーを使ったパソコンを手がける。”(2007年7月4日 朝日新聞 経済面より引用)

 
(参考)
  ・PBJ株式会社 [UMPC/タッチパネルPC/タブレットPC]
  ・インテルのホームページへようこそ

 
 
 以上のネットニュース、TV番組、新聞記事を総合すると、インテルがパソコンを発売する、ということではなく、シニア向けパソコンおよびオンラインサービスの仕様をインテルが策定し発表した、ということのようです。
 
 “インテル、ビットワレット、マイクロソフトの3社が取り組む「スマートデジタルライフ推進プロジェクト」は3日、プロジェクトのこの1年間の成果を紹介する記者説明会を開催した。あわせてインテルから新たな施策として、シニア層に使いやすいPCおよびオンラインサービスに関する技術要件が発表された。”(マイコミジャーナルの記事より引用)
 
 
 正直、やられた!と思いました。
 
 
 このブログでもご紹介しましたが、私どもIT屋もりたも同じ様なコンセプトのパソコンを、既に製作しておりました。
 
  キーボードレス・パソコン(IT屋もりたの今時パソコン日記)
 
 9年前(1998年)、ワコムの液晶ペンタブレットと、当時としては少なかったスリムサイズの筐体を用いたキーボードレス・パソコンを製作しました。
 目的は私の母(当時67歳、現在76歳)に使ってもらうことでした。年賀状作成などを自ら行なえるようにしてあげたかったのが動機です。そのために、ハードやOS、ソフトは何を使うかといった提供者側の論理が先ではなく、母がどんなこと(アプリ)に使いたいか、使うと楽しいか、という利用者側の気持ちを聞き出してコンセプトを先に決めました。年賀状作成、事務計算、辞書検索などを、誰の力も借りずに自力で出来るようになりたい、というのが母の希望でした。そのコンセプトに合わせて、当時選択可能な技術や製品を使って、実現したのが下記のパソコンです。
 
 昨年のこしがや産業フェスタ2006にも出展しました。


 アプリケーションのうち、年賀状作成ソフトは自作しました。母に合うユーザーインターフェイスを持ったソフトが、既製ソフトの中に無かったからです。ボタンの大きさ、文字の大きさ、操作手順(タッチ)の少なさ、(文字入力用)カーソル移動など、どれをとっても、既製ソフトでは私の母が操作することは無理と思われました。
 必ずしも、すべてのソフトを自作するということではなく、例えば辞書検索は、既製ソフトの中から母でも使える(かもしれない)可能性の高いソフトを利用することとしました。事務計算は簡単なExcelマクロで済ませました。但し、実現手段の難易とは関係なく、利用者側の気持ちが理解できていないまま製作したものは、ダメ(結局は使用してもらえない)です。

 
 時代が経過し、実現手段としての技術・製品・サービスも様変わりしてしまいました。特に高速インターネットの普及により、ソフトウェアもクライアント(PC)側にインストールする時代から、サーバー側にインストールして、サービスとして提供する(いわゆるSaaSの)時代になりました。
 ソフトウェアやサービスの追加・変更の容易さ(利用者側のパソコンで、バージョンアップ操作を必要としない)という点で、非常に大きなメリットがあります。利用者にとってなじみ易いユーザーインターフェイスを実現することが、製品の実現手段を決める上で最も重要なことと思います。それゆえ、シニア向けパソコンにおいても、ネットワーク技術やタブレットOSなど最新技術を基に、設計変更し直すことが必ずしもベストということではないと考えます。最新技術を採用することと、特定の利用者にとって最適な製品・サービスを実現するという、2つの命題の中で折り合いをつけていかなければならないと思っています。
 
 そういう意味でも、私どもの製品も、早急に最新の技術(Windows Vista対応、ソフトウェアのSaaS化)に合わせて再構築を迫られております。
 
 
 シニア世代に受入れられて、実際に使われるパソコンを実現する上で、重要なポイントについては、次のように考えています。
 
1.使ってもらえるUI(ユーザーインターフェイス)の設計・実現
 
 最も重要なポイントは、利用者にフィットするサービスとはどのようなものか、どのようなアプリケーションを作れば利用者に使ってもらえるかを理解して、さらにそれを実現できるかにかかっています。
 具体的には、サービスやアプリケーションソフトのユーザーインターフェイスです。
 
 そのためには、次の点を考慮する必要があると思っています。
 
 (1) シニア世代を一つに括らない
 
   シニア世代とひと口に言っても、60歳前後(いわゆる“団塊の世代”)と、75歳前後では、全く異なります。
 
 (2) 究極は、利用者の要求は一人一人違う
 
   実際に、一人一人異なる要求に合わせて変化するUI(ユーザーインターフェイス)を実現することは、困難を極めます。しかし、高年齢の方ほどパソコンやデジタル機器の操作に不慣れな人の割合が多いのは、ここに大きな要因があると思っています。
 
 
2.現地サポートの実施
 
 2つめのポイントは、利用者がパソコンを実際に利用している時間に、利用している場所に足を運んで、サポート(手助け)出来るか否か、という点です。
 
 (1) 利用者にフィットし、使ってもらえるサービスを実現するためには、現地でのサポートが必要です。
 
 (2) デジタル機器に不慣れな利用者が、初めて実際にパソコンを使って、買い物をしたり、映像を視る時に、傍にいて質問や疑問点(デジタル機器に不慣れな方は、質問を言葉として表現出来ない場合が多い)にすぐに答えられるか否かが、製品やサービスを使ってもらえるか否かの、分岐点になります。
 
 (3) 実際に操作を体験してもらった後の、感想(よい点、わるい点。これらも言葉として表現されないケースが多い)、満足度などを改善点として整理し、提供者側にフィードバックして、次のステップに繋げるためには、現場において利用者と一緒に悩み、解決する経験が必要です。
 
 
3.サービスメニューを固定化しない
 
 最後のポイントとして、提供者側がこういうものが必要だろうと考えて作ったサービスメニューは往々にして使われない、逆に提供者がそれほど重要視していなかったサービスが利用者に受ける、ということを考えることが必要であると思います。
 そのために、サービスメニューは変更されることを前提にして、UIを設計しておくことが重要です。
 
 最近流行のベータ版としていち早くリリースし、上記2.で述べたようにユーザーの声をフィードバックして次の版をリリースする。さらに、ユーザーの声を聞く。これを出来るだけ多く繰り返すことが重要と考えます。
 
 一回目のリリース後のユーザーの反応次第では、サービスメニューに止まらず、製品・サービスのコンセプトや基本設計の一部見直しも視野に入れることが必要かと思います。一部ではなくコンセプトや基本設計全体にわたる見直しが必要と判断される場合は、リリース自体を中止することも迫られます。

 
 
--- 関連情報 ---
(1) キーボードレス・パソコン 2006年12月02日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(2) インターネットAQUOS第2弾 2007年03月18日 IT屋もりたの今時パソコン日記
(3) 両親でも使えるパソコンの探求(その1) 2007年03月26日 IT屋もりたの今時パソコン日記

投稿者 もりた : 2007年07月05日 20:22 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

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コメント

おはようございます(^。^)
昨日は、TELにてお世話をおかけしました
有難うございました。

数日前、私もTVで見て、ITもりた屋さんが取り組んで
いるのと、同じ物が出てしまったと思いましたが。。。

翌々考えると、年配者はキーボードが苦手だから・・・・
だけではなく、その先で何を与えて・どうゆう事が出来
素晴らしい物かを考えた方がいいのでは、ITもりた屋さん
が、文章の後半で伸べている事が、一番大事な事では
ないでしようか、頑張って下さい、見てくれではない、本当に
年配者が、使える物を~~~

投稿者 ダーク : 2007年07月06日 09:18

 ダークさん、おはようございます。

> 翌々考えると、年配者はキーボードが苦手だから・・・・
> だけではなく、その先で何を与えて・どうゆう事が出来
> 素晴らしい物かを考えた方がいいのでは、

 おっしゃる通りですね。私では気付かなかった大事なことを教えていただきました。

> ITもりた屋さんが、文章の後半で伸べている事が、一番大事な事では
> ないでしようか、頑張って下さい、見てくれではない、本当に
> 年配者が、使える物を~~~
 
 最後の方の文章は、同業他社との差別化について書いたつもりでしたが、私自身への忠告のような結果になってしまいました。
 ダークさんの励まし、とても力になります。ありがとうございました。

投稿者 もりた : 2007年07月06日 10:20

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