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2006年12月31日

イー・モバイルの戦略

 今年最後の投稿は10月に開催されたCEATEC JAPAN2006に於いて
「来年から始まるモバイル・ブロードバンド革命の衝撃」と題してお話された
イー・アクセス株式会社 代表取締役会長兼CEO 千本倖生氏の講演を
ご紹介します。
 この講演をお聞きして、ケータイがパソコンに替わって
Web利用の主役になる
、と確信しました。

 
■ 電気通信の変革の歴史にすべて立ち会って来た千本氏
 
  千本氏のお話は、自身の経歴が日本の電気通信の変革の歴史
 にすべて立ち会って来た、というところから始まりました。
 
  先ず「市外電話料金が諸外国に比べて非常に高い」という
 問題を解決するために、当時NTT社員だった千本氏らが中心と
 なって、DDI(第二電電)を設立したこと。
  その時氏が考えたことは「世界で一番高い電話料金を、
 何とか世界レベルの料金に出来ないものか」ということだった
 そうです。その結果、1984年当時、東京・大阪間 3分400円の
 料金が2006年では8.5円になった、ということです。
 
 
■ インターネットアクセスのブロードバンド化にも一定の貢献
 
  次に氏が動いたのが「インターネットのアクセス料金が
 諸外国に比べて非常に高い」という問題だった、ということです。
  当時DDIから慶応大学院の教授に転じ、シリコンバレーの
 スタンフォード大学でも教鞭を執っていた氏は、アメリカでは
 100~200Kbitの常時接続でインターネットを使えるのに対し、
 64Kbit(ISDN:注1)従量制(時間が長くなるほど料金がかかる)という
 東京の通信環境を目の前にして「日本の消費者が損をしている」と
 強く感じたそうです。
 
(注1) 以下は私見です。
  1990年代半ば、私自身も雑誌などを読むにつけ、アメリカでは
 ADSLという現実的な技術を選択することにより、より高速な通信環境
 が普及しつつあることを知りました。それに対して日本では、
 ISDNという通常のダイヤルアップよりわずか2倍程度の速度しかない
 技術をNTTが推進していました。古くはINSと呼ばれたこの技術は
 NTTが莫大な資金を先行投資していました。そのため、アメリカでは
 ADSLという「名よりも実をとる」政策に転換していたにもかかわらず、
 日本ではADSLに政策転換することが出来ず、日本の消費者にとって
 インターネットのブロードバンド化が2~4年遅れる結果につながったのでは
 ないか、と思います。
  その後、孫正義氏率いるソフトバンクや千本氏のイー・アクセスといった
 民間企業の努力により世界一(韓国よりも上)のブロードバンド先進国に
 なりました。以上の意味でNTTおよびNTTの大株主である国の責任は
 大変重大である、と思っています。

 
 
■ 日本のブロードバンド環境は世界一安く、世界一速い
 
  そこで日本でADSLを普及させるため、慶応大学をやめ、2000年に
 イー・アクセスという会社を作った、ということです。
  数ヵ月後、孫正義氏がヤフーBBの事業を始め、その爆発的な
 マーケティングのお陰で、日本のインターネット・アクセス料金は
 世界一安く、世界一速いブロードバンド環境を消費者にもたらした
 ということです。
(注2) 千本氏の会社イー・アクセスも各プロバイダの回線接続業務を
 実際に遂行しており、ソフトバンクBB、NTTと並んで日本のADSLを
 支えています。

 
  1999年 月30時間で18,080円しかも64Kbitという低速だったのが、
 2006年には月2,800円で高速かつ常時接続のブロードバンド環境に
 なった、ということです。
 
  千本氏によると世界のADSL価格の比較は、次の通りということです。
 
   国名   月額料金 速度
  ・ドイツ  5,514円   6M
  ・イギリス 5,212円   8M
  ・フランス 4,754円  18M
  ・アメリカ 4,458円   3M
  ・日本   2,880円  50M
 
 
■ 日本の携帯電話料金は高い
 
  一方、携帯電話料金を海外と比較したものが次の通りです。
 (利用者の月額平均利用料金)
 
   国名  月額平均利用料金
  ・香港   2,400円
  ・台湾   2,7??円(注:下2桁聞き漏らしました。もりた)
  ・イギリス 3,700円
  ・韓国   4,700円
  ・アメリカ 6,100円
  ・日本   6,380円
 
  利用時間を比較すると、おおよそ次のようになっているそうです。
 
   国名   利用時間(日本と比較して)
  ・アメリカ  日本の5倍
  ・台湾・韓国 日本の3倍
  ・中国    日本の2倍
 
  さらに、1分当たりの料金は
 
   国名   料金(1分当たり)
  ・香港    8円
  ・アメリカ 10円
  ・韓国   13円
  ・イギリス 30円
  ・日本   45円
 
 
■ モバイル・ブロードバンド事業を自身最後の仕事に
 
  そこでこの問題を解決することを自身最後の仕事とするべく、
 ご自身6つ目の会社となるイー・モバイルを2005年1月に設立し、
 最後の時間をこの事業に賭けたい、とおっしゃっていました。
  
  同社は既に携帯事業参入(電波)の免許を既に取得し、
 サービス開始に向けてネットワーク構築作業を進めているところ、
 ということです。
  ネットワーク構築作業は、1つ目の事業者(Primary Vender)として
 Ericsson(ノルエー:主に東名阪エリアを担当)を、
 2つ目の事業者(Secondary Vender)としてHUAWEI(中国深センの
 企業:仙台、札幌エリアから作業開始)を充てている、とうことです。
 
  イー・モバイルとしては3~4MBbpsの端末で、2007年春から
 データ通信サービスを開始したい、ということです。
 
  また、音声(通話)サービスに関してはNTTドコモと国内ローミングの提携を
 既に行ったということです。
 
 
  講演全体を通して、千本氏の事業に賭ける熱い情熱を感じました。
 また、常に海外と日本の消費者の立場・利便性を比較して行動の
 基準としていることが、とても勉強になりました。
 
 
  この記事を本年最後の投稿とします。この1年お読み頂きありがとう
 ございました。来年は私どもも「ケータイ」に注力して事業を進めて
 まいりたいと考えております。引き続きご愛顧賜りますよう
 お願い申し上げます。
 
    2006年12月31日  IT屋もりた 店主 森田 三男
 
 
--- 関連情報 ---
(1) イー・モバイル株式会社
(2) イー・アクセス株式会社
(3) 「“おもちゃ”ではなく“アメ”で勝負――イー・モバイル千本CEO」(ITmedia + モバイルより)
(4) CEATEC JAPAN 2006報告(3) 2006年10月13日 IT屋もりたの今時パソコン日記

投稿者 もりた : 2006年12月31日 23:24 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

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