« スッキリしない一日でした | メイン | アクティブ・ブロガー・ショー@ちよだ »

2006年04月07日

「ウェブ進化論」その後

 先月ご紹介した「ウェブ進化論」を読んでから、折りに触れてその意味について考えています。

 著者である梅田望夫氏はインターネットの世界で起きているGoogle、ロングテール、Web2.0、ブログ、オープンソース等の新現象(注1)について、「本当の大変化はこれから始まる」(出典:「ウェブ進化論」 梅田望夫(著) ちくま新書)と述べています。

 また「コンピュータ産業には、これまでに二度『破壊的な技術』が登場して産業秩序を覆すということが起きた。」(出典: 上記と同じ)ともおっしゃっています。 ”パソコンの登場”と”インターネットの商用化利用の普及”がそれです。(原著の意味を要約し、文章を変更しました。IT屋もりた 森田三男
 
 
■ 私はこの本を読むまで、パソコンの登場と比較して、インターネットの普及が技術的にそれほど大きなイベントと捉えておりませんでした。パソコン登場以降のトレンドである分散処理化、オープンシステム(注2)化の延長線上にある、中程度の出来事と考えていました。
 
 
■ ここでコンピュータ産業の技術的なトレンドの変遷を振り返りたいと思います。

 1980年代前半のパソコンの登場という大きなイベントを境に、その前後に分けて考えることが出来ます。

 パソコンの登場までは、大型コンピュータ(汎用機)と端末に代表される(注3)中央集権的な処理方式(集中処理)の時代でした。(以下で述べる分散処理(水平分散)と対比するために、”垂直分散”と呼ぶこととします。)

 一方、パソコンの登場以降は、ダウンサイジング(注4)の動きが進み、クライアントサーバシステム(注5)に代表される分散処理の時代をむかえました。(”水平分散”と呼ぶこととします。)

 この後1990年代前半から半ばにかけて、インターネットの商用利用が進みました。
 さらに1990年代末から今日に至り、冒頭に述べた新現象につながることは、皆様ご承知の通りです。
 
 
■ 実はこの本を読み終えた現在も、インターネットの普及が技術的にパソコンの登場に匹敵するほど大きな事象と捉えられずにいるのが、正直なところです。
 インターネットの普及が社会的、またビジネス的には非常に大きなインパクトのある事象であり、今後その影響はさらに増大するであろうことは私も認識しております。

以下の記述のほとんどを「ウェブ進化論」より引用させていただきました。(「」でくくられた個所)

 私は1956年(昭和31年)生まれであり、梅田氏のいうところの「パーソナルコンピューティングの可能性に感動した、ゲイツと同世代」の人間です。
 梅田氏は「『コンピュータの私有に感動した』世代と『パソコンの向こうの無限性に感動した』世代の決定的な違い」について、「ネットの『こちら側』と『あちら側』の違い」「(ネットの向こう側にいる)不特定多数無限大を信頼できるか否か」という2つの軸により分類することにより、分析しています。
 私自身、ネットの「あちら側」のことは理解できるつもりですが、「不特定多数無限大に対する」信頼は持てないのが正直なところです。やはり梅田氏がおっしゃるように、「心根の問題」であり、簡単に変えることは出来ないのかもしれません。
 
 
■ インターネットの商用利用の歴史が始まって10数年が経過し、過去の評価と現在の位置を適切に捉えることができ、コンピュータ産業の過去と現在の歴史的意味を的確に解釈し、進むべき未来について語るべき人が現れた、梅田望夫氏はそのような人物であると理解しています。
 
 
 
--- 注記 ---
(注1) これらの新現象が10年前のインターネットブームとは異なり、技術的に新しい次元に入ったことの表れであるという考え方は、この分野の人々の一致した見方になっています。「Web2.0」という言葉の流行がそれを証明しています。

(注2) ソフトウェアやハードウェアの仕様が公開されているシステムをいいます。その結果、製品(ソフトやハード)を最初に開発したメーカー・ベンダー以外のメーカー・ベンダーから多くの製品が提供されます。ユーザは様々なメーカー・ベンダーの製品を組合わせてシステムを構築することが可能となります。
 1980年代半ば以降今日に至るまで、この流れが続いています。

(注3) 詳細に見れば、ハードウェアの小型化、ソフトウェアの高度化(複雑化)に伴う変化がありました。中型機からミニコン、さらにスーパーミニコンへという変遷がその一例です。

(注4) 企業の主要な業務を、汎用機・ミニコン・オフコンなどに代表される大型コンピュータから、パソコンやワークステーションなどの小型コンピュータに置き換えること。

(注5) 印刷(プリンタ)、データ管理(データベース)、アプリケーションなどの処理(サービス)を実行する”サーバ”と呼ばれるコンピュータと、それらのサービスを受ける”クライアント”と呼ばれるコンピュータで構成されるネットワークシステム。
 サーバが処理を分担するためクライアントの負担が軽くなります。また複数のサーバに処理を分担させることにより、システム全体の処理能力(スループット)を向上させることが可能です。


--- 関連情報 ---
(1) 「ウェブ進化論」 梅田望夫(著) ちくま新書
(2) MochioUmeda.com (梅田望夫氏サイト)
(3) My Life Between Silicon Valley and Japan (梅田望夫氏ブログ)
(4) 「Web 2.0 BOOK」 小川浩・後藤康成(著) インプレス
(5) 「ウェブ進化論」 IT屋もりたの今時パソコン日記 2006年3月27日
(6) 「ウェブおよびブログ関連書籍」 IT屋もりたの今時パソコン日記 2006年3月26日

投稿者 もりた : 2006年04月07日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ!

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.imadokipc.com/mt/mt-tb.cgi/83

このリストは、次のエントリーを参照しています: 「ウェブ進化論」その後:

» 既存の権威を体現する梅田望夫『ウェブ進化論』の深刻な矛盾 from 愛と苦悩の日記
話題のベストセラー梅田望夫著『ウェブ進化論』は視野が狭く、矛盾だらけの楽観論に満ちていることを、これから数回に分けて論証していきたい。 梅田望夫著『ウェブ進化論... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年04月17日 23:17

コメント

コメントしてください




保存しますか?