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2006年04月03日
「ITアーキテクト」 ~ KDDI 情報システム本部長 繁野 高仁氏の講演から
㈱IDGジャパンが発行する技術情報誌「ITアーキテクト」主催によるセミナー「ITアーキテクト・サミット2006 Spring」が東京コンファレンスセンター・品川で開催され、いくつかのセッションを受講しました。
「アーキテクチャ(architecture)」とは建築用語で”建築;建造物;建築様式”を意味します(出典:三省堂 デイリーコンサイス英和辞典 第5版)。
転じて”コンピュータのハードウェア、ソフトウェアの双方を含めたシステム全体の構造や設計思想”を意味するコンピュータ用語としても使われるようになりました。(出典:標準パソコン用語辞典 2002年版 赤堀 侃司監修 秀和システム)
一方「アーキテクチャ」(システム全体の構造や設計思想)を決定する人材を「アーキテクト(architect)」と呼ぶようになり、「ITアーキテクト」、「Javaアーキテクト」、「ソフトウェア・アーキテクト」など様々な分野の「アーキテクト」が出現しました。
※ 従来「アーキテクチャ」という言葉は「コンピュータ・アーキテクチャ」の意味で使われる場合がほとんどでしたが、最近では「ソフトウェア・アーキテクチャ」、「ITアーキテクチャ」などより広い意味で使用されるようになりました。
さて本日のセッション内容ですが、KDDI株式会社 情報システム本部長 繁野 高仁氏のお話に少なからず衝撃を受けました。
先ず、次のお話に共感いたしました。
5.情報システム(ソフトウェア)と他の人工物との違い
・技術屋となるための敷居が低い
「敷居は一見低いように見える。ところが長続きする良いシステムを作るための敷居は高い」と述べていらっしゃいました。全く同感です!
・目に見えない。
「(最悪の出来の場合)船なら沈没、橋なら倒壊。ソフトウェアは目に見えない、しかし中はぐちゃぐちゃ」
また、次の言葉に最も衝撃を受けました。
6.情報システム構築のポイント
(2)情報システム(ソフトウェア)開発プロジェクトを成功させるためには
「ユーザ要求を聴く前に人工物としての設計が行なわれていなければならない。」
「情報システムの開発はお客様の要求をあれやこれや聴いてから着手することが多くなりがちである。しかし情報システムを作ることは非常に難しいことである。」
という言葉でした。私も長年(25年)ソフトウェア開発に携わってまいりましたが、ずっと意識の奥底にあったものを言い当てていただいたような気がします。
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参考として、講演の概要を以下に記します。
(以下、講演の資料およびお話を引用させていただきます。)
■ ITアーキテクトに必要な視点
ビジネスとITをつなぐ、KDDIのアーキテクチャ構築手法
KDDI株式会社 情報システム本部
執行役員情報システム本部長 繁野 高仁 氏
1.略歴
・大学卒業後、日本NCRに入社。百貨店POSシステム等の開発に従事。
以来現在に至るまでシステム開発に約30年間携わる。
・1985年 第二電電(現KDDI)入社。
・一時、DDIポケットに出向。
・KDDI・DDIポケット合併に伴いKDDIに復帰。
・2003年より現職に就く。
2.KDDIシステム統合の歴史、現状
企業合併に伴い、システム統合を繰り返して来た。
・固定電話系のDDI、TWJ(テレウェイ)、KDDのシステム連携の実施。
・携帯電話系も企業統合に合わせて、システム統合を実施した。
・さらに、FMC(Fixed Mobile Convergence:固定(Fixed)と携帯(Mobile)の融合(Convergence))という事業者、ユーザ双方の動きに対応すべく、システム構造改革を進めている。
3.情報システム部門の課題
情報システムの巨大化・複雑化に伴うコスト増大、システム障害の増加等の課題があるが
問題の本質は”ソフトウェアの老化”にある。
具体的には
システム化要求に対し早く・安全に開発したいという技術者の習性から
”既存部分になるべく手を入れず、外付けで開発する”
↓
”ソフトウェアの変更が難しくなる”
そこに再び新たなシステム化要求が来る
という、悪循環に陥っている。
(以上、講演の資料およびお話を引用。)
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ここで繁野氏は情報システムに対する要求の変化と、情報システム開発に対する着眼点について、情報システム開発に携わる者(以降”ITアーキテクト”と記します)へ重大な忠告を述べていらっしゃいます。
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(以下、講演の資料およびお話を再び引用。)
4.情報システムのパラダイムシフト
(1)情報システムに対する着眼点が”機能”から”情報”へシフトした、言い換えればコンピュータが”自動化の道具”から”コミュニケーションの道具”へシフトしたことに、ITアーキテクトは気付くべきである。
情報 = データ + ”意味”
”意味”とは、発信者の意図と、受信者の解釈が一致する必要がある ということ。
(2)情報システムとコンピュータシステム
実世界における情報伝達のための仕組みの1つとして情報システムが利用され、さらにその(情報システムの)道具としてコンピュータシステムは位置づけられる。
そう考えると、実世界の要求の変化に対応するためには、コンピュータシステムの変更だけではダメ、むしろ情報システムの変更こそが重要。
(3)コンピュータシステムは実世界のシミュレータ
・実世界をモデル化し、DBMSの3層スキーマ構造の概念スキーマに反映させる。
・実世界のとらえ方として”ものこと分析”というとらえ方がある。
(参考文献「ものこと分析で成功するシンプルな仕事の構想法 中村善太郎著 日刊工業新聞社」)
5.情報システム(ソフトウェア)と他の人工物(飛行機、船、橋 etc.)との違い
・仕様が曖昧で変化する
・完成後も機能の追加や変更を数多く要求される
・物理的な制約が極めて少ない(重力、浮力、規模 etc.)
・技術屋となるための敷居が低い
・目に見えない。
6.情報システム構築のポイント
(1)良い情報システム(ソフトウェア)を作ることは、他の人工物を作ることよりも決して易しい仕事ではなく、高度な技術力が必要である。
人工物としての情報システムは、科学で言えば社会科学並みの複雑さ(最も複雑)である。
(2)情報システム(ソフトウェア)開発プロジェクトを成功させるためには、ユーザ要求を聴く前に人工物としての設計が行なわれていなければならない。
(3)ユーザ要求は鮮度を大事にし、聴いたらすぐに実装できるようにすべきである。(そういう仕組みを作るべきである。人的仕組みも含めて)
7.システム構造改革プロジェクト
情報システム部門の課題を解決する手段として、システム構造改革が必要であり
中でも”CIOのリーダーシップが不可欠”。
トップダウン と ボトムアップ の両面からのアプローチが必要であるが、現在までの日本で特に欠けているのはトップダウン(リーダシップ)である。事業者任せではなく、発注者側からのトップダウンが必要である。
(以上、講演の資料およびお話を引用させていただきました。)
--- 関連資料 ---
(1) 「ITアーキテクト」 発行:IDGジャパン
(2) 「ものこと分析で成功するシンプルな仕事の構想法」 中村善太郎著 日刊工業新聞社
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